VOCALOID(ボーカロイド)楽曲制作で必要な主要ボーカルエディター3種類について、それぞれの特徴を詳しく解説します。
ボーカロイドや音声合成ソフトの主要ボーカルエディターは4つあります。
また、各エディターにしか登場しないキャラクター(歌声)も多数存在します。
それぞれのエディターの特長や対象キャラクターをご紹介しますので、お選びの際のご参考になればと思います!
※現在エディターのみでの販売があるソフトは基本的にありません。キャラクターのボイスに同梱、あるいはセットとなっていますのでご注意ください。
(Synthesizer V専用のボーカルエディター「Synthesizer V Studio Pro」のみ単体での販売はございます。)
対応キャラクターが豊富!
基本的にどんなDAWソフトとも連携可能で、VOCALOIDといえばこのエディター!
ボカロPの中でも使用者の多い、長年愛されているエディター「Piapro Studio」です。
比較的動作が軽く、ハイスペックなPCでなくとも扱いやすい、初心者の方に向いたエディターになります。
動作対象のキャラクターも非常に多く、人気の「初音ミク」「鏡音リン・レン」「flower」「GUMI」などVOCALOID2~VOCALOID4までのボイスライブラリは全てPiapro Studioで動作します。
また、Cubaseなどの様々なDAWソフトと連携して起動することが可能で、他の楽器音源と同様にエコーをかけたり音量を整えたりといった調整をDAWソフト上で簡単に行うことが出来るので非常に便利です。
初めにご紹介の通り、「V4Xシリーズ」に同梱されているエディターになりますので、初音ミクの場合は「初音ミクV4X」単品、Flowerなどの音源単体パッケージの場合は「Flower+初音ミクV4X」というような形でそろえていきましょう。
CRYPTON V4X・V3シリーズに同梱。
※エディター単品での販売はありません。
Piapro Studio NT
「初音ミクNT」に同梱されている、初音ミクNT専用のボーカルエディターです。現状は初音ミクNTのみ動作可能で、他のキャラクターは追加出来ませんので注意しましょう!
ベタ打ち性能が高く、編集機能がとても使いやすい!
「可不」など独自の人気キャラが続々登場!
2021年に登場し、急激に人気を高めているエディターが「CeVIO AI」です。
何よりも特徴的なのは、AI技術による自然な歌唱で通常のボーカロイドのように細かな調整をせずとも自動的に表現力豊かに歌ってくれるため、初心者の方でも高いクオリティで歌わせることが出来ます。
注意点が2つあり、1つ目はCeVIO AIはDAWソフト上で動作しません。
まずDAWソフト上でメロディや伴奏などを作っておき、メロディのMIDIデータをCeVIO AIで読み込んで歌詞を入力、完成した歌声をwavデータで書き出してDAWソフトに読み込み→MIX作業、という流れで制作していきます。
2つ目は、厳密には商標権の関係上ボーカロイドには含まれませんので、製品名に「VOCALOID」と名前のつくキャラクター(初音ミクなど)には対応しておらず、CeVIO AI専用ボイスの中から歌声を選ぶ形になります。
逆にCeVIO AIでしか使用できないボイスも多く、人気の「可不」や「星界」、VOCALOID3で高い人気を博した「IA」のCeVIO AI版など、魅力的な専用キャラクターや歌声が多数登場しており、その人気に拍車をかけています。
DAWとの直接の連携が出来ないという点はありますが、それを差し引いても扱いやすさとキャラクターの魅力から初心者の方にもオススメ出来るエディターとなっています。
Windowsのみで動作しますのでご注意ください!(Mac非対応)
CeVIO AIキャラクターのスターターパッケージに同梱。
※エディター単品での販売はありません。
CeVIO AI同様かそれ以上に編集が直感的でわかりやすく、リアルな歌唱が可能!
Pro版ならDAWとの連携も可!
こちらも新進気鋭の、2020年頃に国内での販売が開始した歌声合成エディター「Synthesizer V」です。
従来のボカロらしい歌声から、「人が歌ってる…?」と思う程のリアルな歌唱まで可能で、操作もわかりやすく初心者の方にオススメできるエディターです。
無償版の「Synthesizer V Studuo Basic」と通常版の「Synthesizer V Studuo Pro」があり、プラグインとしても起動できるPro版はDAWソフト上で起動することが出来るため、MIX作業などがとても楽になります。
また、MIDIファイルの他、vpr(VOCALOID5)、vsqx(VOCALOID3、4)、ust(UTAU)、ccs(CeVIO)、sk(Sharpkey)といった他社のファイルの読み込みにも対応しているため、すでに他のエディターで作成していた方も既存のデータで歌わせることも可能です。
懸念点としては有名キャラクターが少ないこと。
しかし、プロシンガーによるリアルな歌声や著名な声優さんが声を務めるキャラクターも豊富ですので、キャラクターにこだわらず歌声の良さで決めたい!という方には最適解になるエディターです。
初めてのオススメは、便利なPro版エディター + 好きなキャラクターボイスをひとつダウンロードすることができるSynthesizer V Studuo Pro スターターパックです。
DAWとの連携や編集のわかりやすさ、リアルな歌唱など初心者の方にも魅力な部分が多く、今後人気の高まりも期待できる扱いやすいエディターです。
便利な編集機能が豊富なので、他のエディターの調声では挫折してしまった…という方にもオススメです!
Synthesizer V Studio Proは各エディターの中で唯一、エディター単体での販売があります。
Synthesizer Vで音楽制作を始める場合は、好きなキャラクターのボイスをひとつ選べるSynthesizer V Studio Pro スターターパックがオススメです。
VST/AUプラグイン | DAWソフト上で立ち上げ可能。 |
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多言語機能 | 日本語の他、英語や中国語対応。(AI対応キャラクターのみ) |
AIリテイク機能 | 調声不要で自動的に自然な表現が出来るSynthesizer Vですが、実際の歌録りのように微妙に表現の異なる複数テイクから好みの歌を選ぶ事が出来ます。 |
ボーカルスタイル | オープン、ソフト、クリア、チェストなど様々な発声を切り替え可能。 |
トラック数 | 無制限(Basic版は3トラックまで) |
等々…
無料版の「Synthesizer V Studio Basic」は公式サイトで配布されています。
こちらはDAWソフト上では起動できずスタンドアローンのみでの起動で、機能の制限もありますが、同梱の各種Synthesizer Vライト版(試用歌声ライブラリ)を使うことで、実際にどのような感じかお試しで触ってみることが出来ます!
VOCALOID EditorがAI技術に対応!ベタ打ちでも自然な歌唱に。
「VOCALO CHANGER機能」により、人が歌ったデータを元に歌い方や歌詞を再現可能!
2022年10月13日、4年ぶりのアップデートとなるVOCALOID6がヤマハより発売となりました!
新機能として「VOCALOID:AI」が搭載され、CeVIO AIやSynthesizer VのようにAI技術による自然な歌唱が可能(※VOCALOID6ボイスバンクのみ)となりました。
同じく追加された新機能「VOCALO CHANGER機能」は、人が歌った歌唱データを元に、その人の歌のクセをボーカロイドで再現する事が出来ます。自然な歌唱の再現度が高く非常に面白い機能で、今後様々なボカロPによる活用が期待されます。
ただし、これらの新機能(VOCALOID:AI機能、VOCALO CHANGER機能)は、初音ミクV4Xなどの6以前のボーカロイドでは使用できません。
また、VOCALOID5を選ぶ際はCubaseユーザーにとって大きな利点であった「VOCALOID Editor for Cubase」がVOCALOID6では付属しなくなりました。(現在単体での販売は行っていない為、手に入れる手段は無い状態です。)
今後サードパーティ製のVOCALOID6対応ボイスバンクは増えていくかと思いますが、今も非常に人気の高い「初音ミクV4X」などのVOCALOID4やVOCALOID3で楽曲制作を行う場合は、動作の軽さや扱いやすさから2022年10月現在もPiapro Studioのご使用がおすすめです。
VOCALOID6 Editorを最もお安く手に入れる方法 → 「VOCALOID6 Starter Pack AI Megpoid ダウンロード版」 を購入する。
その他、YAMAHA VOCALOID公式HPで「VOCALOID6 for Windows / macOS」を購入する方法があります。