その汎用性と機能性と美しさから根強い人気を誇るPaul Reed Smith(ポールリードスミス)、PRS(ピーアールエス)という略称で親しまれております。
ラインナップの一つである「SEシリーズ」。非常にコストパフォーマンスが高く、初心者から中級者、果てはプロまで根強い人気を誇るシリーズとなっております。
年々そのラインナップ数が増えていってどう違うのか、どれが自分に合っているのか、という方のために、現行販売機種すべてを徹底比較いたします。
自分に合ったPRSを選ぶ手助けになれば、と思います。ではご覧くださいませ。
この記事はこんな方におすすめ!
- PRSが好き!だけど高い…な方
- 2本目や3本目のギターを探している方
- 良いもの持ってるけどサブで1本欲しいなぁ…という方
ラインナップ
多岐にわたる需要を網羅するためなのか、なかなかに多い機種数です。まずは「SE Custom」と「SE Standard」の二機種に絞ってみていきましょう。
SE Custom
誰にでもオススメできる、SEシリーズ主力モデル
PRSのフラッグシップモデル「Customシリーズ」を元に製作されたいわばSEシリーズの顔。
一番の魅力はまずはそのルックスでしょうか。8万前後のギターではありえない杢目の出方をしています。 やはり杢目の出方でかなり値段が変わってくるのですが、SEシリーズでは無地のメイプルの上にフィギュアド(模様のある)メイプルの薄い板(化粧板)張り付けて使用することによって解決しています。
プリントではなく、しっかりとメイプルのトップ材を使用することによってメイプル+マホガニーのサウンドも実現できているわけですね。
PRSの象徴でもあるバードインレイ(指板上の鳥マーク)もしっかりと入っており、本当に豪華なルックスとなっています。
ルックスだけでなく、本家USAモデルで培ったネックシェイプ、ピックアップ、各パーツも搭載されており、まさにコストパフォーマンスが良いとはこの事なのではないでしょうか。
24フレット仕様だけでなく、22フレット仕様やフロイドローズ搭載、レフティやホロウボディまでラインナップされています。
また限定品やコラボモデルが一番多いのもこの機種。ローステッドメイプルネックモデルやキルトメイプルモデルなどの限定品が数々リリースされています。
本家の魅力を味わいたい方へ。オススメな一本です。
2020年モデルに希少なバール材を用いたモデルが新登場しました。
SE Standard
ただ安いだけじゃない、パワフルな音を得意とするギター
基本設計や各パーツは変わりませんが、トップ材を使用せず、マホガニーのボディ、マホガニーネックのモデル。
いくらコストパフォーマンスに優れているとはいえ上記のCustomシリーズはやはり8万前後となかなか手が出しづらい価格であるのは事実。
もっとお求め安くして、手の届きやすい価格にしたいけれども、精度や安定性が落ちちゃったら元も子も無いよね、という事で開発されたギターです。
トップ材を取り払ったことにより、より生々しくパンチのある音に仕上がっています。
それでいて値段は驚異の5万円以下。アンプなどとセットで買っても10万行かない。凄い。
とにかくギターを始めたいという方へ。オススメです。
※比較用にSE Custom24も並べてみます。
CustomとStandard
明確な違い、といえばトップ材の有無とネック材の違いでしょうか。 いかにコストを下げたとしてもメイプル材の有無による価格差は大きいようです。
気になる音の方は・・・というと明確に差は出てますね。やはりCustomの方がメイプルトップの音のまとまりや立ち上がりは良いように思います。
ただStandardが悪いという訳ではなく、荒々しいサウンドはこちらのほうが優れているように感じます。
好みでもありますが、どっちが好きと言われれば私はCustomが好きです。より「ぽい」音ですしね。
上記2機種を元に、様々なモデルがラインナップされています。
SE Hollowbody
それぞれCustom、Standardを元に作られたホロウボディモデル。ネックはマホガニー、トレモロではなくストップテイルピースになっています。
クリアさと、甘さが両立したサウンドは格別ですね。私すごく好きです。
SE245
レスポールよりもさらに短く、一般的なショートスケールよりもやや長い24.5インチスケールシングルカッタウェイモデル。こちらもCustomとStandardがもとになった2機種です。
2vol、2toneのコントロールを見てもパッと見レスポールか?と見えますが、弾きやすいのに前に出る、PRSらしさの残るサウンドです。
SE Mira/SE Stala Stoptail
もう一つ上の「S2シリーズ」で発売されている「Mira」と「Stala」のSEモデル。レトロなルックスから想像通りのヴィンテージサウンドを高いプレイアビリティでまとめてあります。
SE 277/SE7 String
ちょっとした変わり種まであります。まずはSE277、27.7インチスケールのバリトンギター。出荷はB~Bのチューニング(BEADF#B)です。アーティストモデルですが7弦もあります。ペリフェリーのギタリスト、マーク・ホルコム氏のモデルですね。
SE Signature
数々のアーティストシグネイチャーモデルも発売されています。一挙にまとめます!ピックアップ表記を追記します。
なんというかカタログを作っている気分になりましたが、本当に多種多様なアーティストに愛され、そのモデルが発売されているように感じます。
最後に
「とりあえずPRS持ってたら何とかなるよ。」
10数年前の学生時代。色んなジャンルに手を出そうとしていた著者が「どんなギターが良いんですかね?」先輩に聞いたら言われた言葉です。 その後楽器店に勤め始め、様々なギターを触ってきましたし、時代も変わり新しいギターが増えていますが、その認識はあまり変わっていません。 その理由はなぜか。王道機種であるCustom24を例に特徴を改めて書き出してみました。
Coreライン(現行USAラインのスタンダードモデル)のCustom24、おそらく愛好者の多い機種の一つ 「コイルタップ付きの2ハム」「トレモロアーム付き」「軽量」「24フレット」「25インチのスケール」などなど枚挙すればきりがないほど。 「ストラトとレスポールの合いの子」と呼ばれる事もあるPRS…「色んなギターの良いとこ取り」な感じがしますね。
そのクオリティから数々のプロミュージシャンがこぞって使用しているのも頷けます。 カルロス・サンタナ、ジョンメイヤー、オリアンティ、デイヴ・ナヴァロなどの海外アーティストから UVERworldの彰氏と克哉氏、ONE OK ROCKのToru氏やSPYAIRのUZ氏などの国内アーティストも使用しています。 その他ロックだけでなくジャズからカントリー、メタルなどの愛用者も多く、その面からみても多種多様なアーティストに愛されています。なかなか他のメーカーには無い特長かと思いますね。
「あらゆる分野に使えるギター」これ実は初心者の方に一番オススメしたいギターだと私は思っています。 ギターを弾き始めて少し弾け始めてくると、自分の好きなジャンルが増えていく方が本当に多いのではないでしょうか? そうなったときに「とりあえずなんでも弾けるギター」を一本持っておくと、自分で弾けなくても、似たような音が出るだけで楽しくなるんじゃないかなぁと。
もちろんアンプもエフェクターも大事ですが、近年の小型アンプの進化がすさまじく、ある程度のサウンドメイクは可能なモデルが増えてきました。 となると万能で弾きやすくそつなくこなすSEシリーズは本当にオススメできると、思っています。 初心者の価格からは少し高い、という方も多いとは思いますが、損はしないのではと思いますね。良いギターです。
長々と書いてしまいましたが、皆様のギターライフに少しでもお役立ちできればと願って。
記事を書いたひとはこんな人
八王子店 廣瀬 和哉
吹奏楽団に所属していた両親より生まれ、体育会系部活にいそしんでいたものの、大学サークルで軽音楽にのめり込み、好きが高じてそのまま楽器店で働きだした人。ソウル、ファンクに傾倒しておりましたが30歳にしてギターインストやハードロック、ジャズフュージョン系に目覚めた遅咲きのギター好き。年齢と共に歪みが増えつつあるようです。